教務主任残酷物語〜生き延びるための100の技法

某私立小学校のセンセイ。コンサル会社→通信で教員免許→私学で教務主任。 説教おじさん。書評や授業論を日刊で配信中。

みるみるうちに子どもが落ち着く10の方法

こんにちは、桜井です。

 

6月、11月、2月は子どもたちが落ち着かないとよく言われます。

今回の記事では、子どもが落ち着く10の方法を考えてみたいと思います。

以下の書籍をヒントに考えてみました。

 

クラスがみるみる落ち着く教師のすごい指導法!

クラスがみるみる落ち着く教師のすごい指導法!

 

 

●なぜ子どもたちは落ち着かないのか?

子どもたちが落ち着かない理由はたくさんある。

「授業がわからない」「先生が自分を理解してくれない」「クラスの中で序列があり、自分が自信を持てない」「保護者が教員のことを悪く家で言っている」

 

それらをまとめると、一言でいえば信頼関係が崩れてしまっているといえそうである。

 

 

●どうすれば子どもは落ち着くのか?

クラスがみるみる落ち着くすごい指導法

1 第1章 荒れを感じるクラスと向き合うために始めること
  1.1 子どもと戦うことをやめる
    1.1.1 子どもを受け入れる
  1.2 子どもの良さに注目する
    1.2.1 ちゃんとしている子どもをほめる
  1.3 子どものやり方に任せてみる
    1.3.1 もっとこうした方がいい方法ある?
  1.4 共感して落ち着かせる
    1.4.1 どうしたの?
    1.4.2 君の気持ちはわかるけど他の方法はなかったの?
  1.5 立って授業をする
  1.6 子どもの時間を奪わない
    1.6.1 休み時間を確保する
  1.7 ひいきを感じさせない
    1.7.1 全員と遊ぶ
  1.8 朝の挨拶
    1.8.1 ○○くん、おはようございます
  1.9 授業でたくさん会話をする
    1.9.1 声をかける
  1.10 お手伝いを喜ぶクラスづくりを
    1.10.1 担任がほめていたよ!と同僚に伝えてもらう
  1.11 やがて変わればいいと考える
    1.11.1 ダメなら次の手
 

 

①子どもの良さを週に1つは発見する。
 
私のクラスでは毎週1回子どもたちの良いところを発表する。
子どもたちは、この機会をとても楽しみにしている。
「今回はどんなことを言ってくれるのか」「前回と一緒は嫌」と様々な声をくれる。
 
●どんな褒められ方をされると子どもたちは喜ぶのだろうか?
 
ポイントは「成長を褒める・認める」ということである。
先週までは、これができなかったければ、今週ここができるようになった!
見つけるのは大変だが、ちょっとしたことで構わない。
 
「時間を守れる機会が増えた」「毎日自分で宿題を提出できた」「宿題の直しをがんばった」「授業中手を挙げられた」などが有効である。
 
 
②指導ではなく、質問をする。
 
「●●しなさい」「●●はダメ」「いい加減にしなさい!」
こんな怒号を毎回浴びせられたら子どもたちはどんどん疲弊していく。
 
「どうしたの?」これは魔法の言葉。
もちろん全体指導も必要だが、基本的には問いかけが重要である。
 
「何がしたかったの?」「その伝え方以外の方法はなかった?」
「振り返るとホントにそれでよかったのかな?」
 
問いかけることで子どもは自ら考えるようになるのだ。
 
③時間を守る。
 
子どもたちには「時間を守りなさい」というのに時間を守らない教師は多い。
開始時間を守らない、授業を延長する。こんな教師はどこにでもいる。
しかも大抵"いつも"なのだ。
 
●なぜ時間を守れないのか?
→準備不足
→目標が曖昧だったり、不明確
 
この2点が考えられる。
 
・今日の授業の一番のポイントはどこなのか?
・そのポイントを全員が達成するために何が一番必要なのか?
 
明確な目標があれば、途中で巻くことが可能である。
そのためにも授業準備は必須である。
 
●なぜ授業の準備ができないのか?
→圧倒的に生産性が低いから。
 
生産性を高めるノウハウは順次紹介していこうと思う。(乞うご期待)
 
④子どもたちに声をかける。しかも全員違う一言を
 
一流の教師は休み時間子どもたちと一緒に過ごす。そうではない教師は休み時間職員室にいる。
 
一流の教師は、全員に違う声かけをする。
 
「前髪切ったね。前もよかったけど大人っぽさ増したね」
「漢字練習がんばってるな」
「キックベースの時考えて蹴っていたね」
 
具体的に細かくその子に合わせて声をかけることがポイントである。
普段から子どもたちを観察し、変化を見逃さないことが重要である。
 
さらに1ヶ月に一回はアンケートを配って子どもたちから情報を収集することも重要である。
 
●アンケート事例
1)学校は楽しいですか?
2)困っていることはありませんか?
→勉強、先生、友人、家庭、習い事
 
たった10分で子どもたちの"今"を掴むことが重要である。
 
 
2 第2章 子どもが素直に受け入れる叱り方
  2.1 真剣な失敗は叱らずにほめる
    2.1.1 次が大事。どうしたらいい?
  2.2 口答えや屁理屈がでない叱り方
    2.2.1 Iメッセージ
        2.2.1.1 先生ならこうするな
        2.2.1.2 先生なら嫌な気分になるな
    2.2.2 君はどう思う?
  2.3 叱らずに叱る
    2.3.1 うるさい!と言わない
    2.3.2 声のトーンを落とす
    2.3.3 間を作る
  2.4 過去とは切り離して叱る
    2.4.1 一事に一叱り
    2.4.2 先生が訊いたことだけに答えてください
  2.5 長々叱らない
    2.5.1 2分だけ叱る
  2.6 いつも冷静に叱るための工夫
    2.6.1 ★タイムアウト
        2.6.1.1 いったん教室を出る
 
⑤教員自身の失敗談を話す
 
子どもたちは教員の雑談がとても好きである。教員という仮面を脱いだ人間としての話に心から興味を持つ。
 
叱る場面があったら全員の前で恥をかかせるようなことはせず、
個別に話すのがいい。
 
そして、その時に教員自身の失敗談を入れる。
「先生もこんな失敗しちゃってさ」から始まると子どもとの信頼関係が結びやすくなる。
 
 
⑥待つ(3秒・10秒・1分)
 
待つことは決定的に重要である。
コンサルタント時代は毎日が新幹線。子どもたちとの毎日は各駅停車である。
時々遅延もする各駅停車である。
何度も同じことを言い、裏切られても諦めない力が重要である。
 
話の途中は3秒待つ。
号令の前は10秒待つ。
叱る前は1分待つ。
 
「ちょっと待てよ」と立ち止まることができない若手は多い。
朝の会や帰りの会で焦る気持ちはわかる。
でもあなたの声は子どもたちに届いていない。
それで伝えたことになるのだろうか?
 
3秒・10秒・1分待つのがとても大切である。
しかし、学級崩壊しているクラスは1分しても静かにならないことも
ここで強調したい。学級崩壊からの生還エピソードも今後伝えていこうと思う。
 
 
 
⑦2分だけ叱る
 
とにかく先生たちは話が長い。研修やセミナーに多数参加していると90分とか人の話を聞くのは苦痛でしかない。子どもたちは説教が始まったら心を閉ざし、じっと我慢する。
そして教師は20分も30分も叱る。しかし、現状は変わらず負のスパイラル。
これでは何も改善されない。
2分と決めて叱るのはとても重要。
 
「先生、1分20秒で終わったね」と女子から褒められる自分を目指そう。
 
 
3 第3章 学習環境を整えてクラスに落ち着きを
  3.1 いすをしっかり入れさせる
    3.1.1 ちゃんといすが入れてあるときれいでしょう
  3.2 机の中の整理整頓
    3.2.1 中のものを全部出させる
  3.3 教室ゴミゼロ
    3.3.1 あいさつの前にゴミ拾い
    3.3.2 箒机間巡視
  3.4 元の場所に戻させる
    3.4.1 次に使う人のために
    3.4.2 整理された状態を写真で
  3.5 ★派手な筆箱をシンプルにする
  3.6 勉強道具の位置を整える
  3.7 崩れた姿勢を改めさせる
 
 
⑧環境を整える。
 
優れた授業をする先生の教室はいつもキレイだ。子どもたちは当然汚す。
はさみを使い、粘土を使い、活動するから当然毎日汚れる。
でも優れた先生のクラスは、キレイなのだ。
 
●なぜ子どもたちが毎日活動する教室がキレイなのだろうか?
先生が掃除しているからに決まっている。
 
私は先輩教師から机間指導の時に箒を持つとよい、とアドバイスされた。
もう歩く時はいつでも掃除なのだ。
 
それくらいしないと怪獣たちのいるところ=教室はキレイを保てない。
 
⑨姿勢を正す。
 
姿勢が悪い子が増えた。
5時間目まで持たない。もちろん家庭の躾の問題だろう。
しかし、姿勢を正すと脳まできちんと血がめぐり学びの生産性が高まる。
姿勢を正すことのメリットを科学的に教えても良いのではないだろうか。
高学年の子なら理解できるはずだ。
 
4 第4章 荒れにつながる言動
  4.1 言葉づかいが悪い子には
    4.1.1 辞書で調べさせる
        4.1.1.1 ★辞書にのっていない言葉は日本語ではありません
  4.2 物を投げる子には
    4.2.1 両手で受け取る
    4.2.2 予告して渡す
  4.3 素早く整列できない
    4.3.1 ペアができたらしゃがむ
  4.4 元気に外で遊ぶようにするには?
  4.5 トイレでたむろする子には?
    4.5.1 教室で待ってるからね
  4.6 1人ぼっちをつくらないためには?
    4.6.1 ペアを意図的に作る
  4.7 給食を残す
    4.7.1 あらかじめ減らす
        4.7.1.1 ★自己責任意識を芽生えさせる
  4.8 掃除をサボる
    4.8.1 手順と分担を細かく決める
5 第5章 授業中
  5.1 授業に遅れてくる
    5.1.1 楽しい仕掛け
    5.1.2 読書タイム
  5.2 発言する子が固定化
    5.2.1 ★★君のおかげでそういう見方があるってわかったよ!
    5.2.2 ★★これで正解が絞られたよ
  5.3 友だちの発言をバカにする
    5.3.1 ★なぜですか?代案をどうぞ
  5.4 挙手できない子には
    5.4.1 ★★ノートにOK
    5.4.2 ★次当てるからね!
  5.5 話し合いができない
    5.5.1 ペアワーク
    5.5.2 終わったら教室の後ろへ
    5.5.3 ★動きのある授業
  5.6 ノートに落書き
    5.6.1 ノートを提出させる
    5.6.2 お手本を印刷して掲示
    5.6.3 ★殿堂入りノート掲示
  5.7 繰り返し練習ができない
    5.7.1 時間制限
  5.8 雑な字
    5.8.1 止まる
    5.8.2 自分のノートを読ませる
6 第6章 保護者対応
  6.1 保護者の心をほぐす電話
    6.1.1 ★★いいことがありましたよ!
    6.1.2 成長を認める
  6.2 短所指摘
    6.2.1 サンドイッチ
        6.2.1.1 長所→短所→長所
  6.3 学校でのできごとを連絡帳に書く
    6.3.1 3行日記
    6.3.2 ヒントタイム
    6.3.3 ヘルプ
  6.4 連絡帳に事務的な返信をしない
    6.4.1 太字筆ペン
    6.4.2 イラスト
  6.5 保護者と話す機会を多く持つ
    6.5.1 教室にも顔を出してください
  6.6 学級通信
  6.7 明日の予定がわかるようにする
  6.8 欠席連絡
7 ★当たり前のことを認める
 
PDCAサイクルを複数で回す。
 
上記にやり方はたくさん書かれている。
落ち着かないクラスは複数で対応することが基本。
 
・うるさい
・落ち着かない
・気になる子
 
これらの基準は意外と教員によってバラツキがあるのだ。
だからこそ、ここを大切にしよう!というポイントを決めて
複数でモニタリングすることが必要ではないだろうか。
 
●まとめ
荒れたクラスを受け持つのは精神的にも肉体的にも辛い。
しかし、被害者は迷惑している子どもたち。
彼らを助けるためにも今回紹介したノウハウが役立てば幸いである。