教務主任残酷物語〜生き延びるための100の技法

某私立小学校のセンセイ。コンサル会社→通信で教員免許→私学で教務主任。 説教おじさん。書評や授業論を日刊で配信中。

教え上手になるには?

こんにちは、桜井です。

今回は小学校の教師がどうしたら教え上手になれるのか考えてみたいと思います。

参考文献はこちらの2冊。

 

教え上手

教え上手

 

 

 

上手な教え方の教科書 ? 入門インストラクショナルデザイン

上手な教え方の教科書 ? 入門インストラクショナルデザイン

 

 

 

では、早速参りましょう。

 

教え上手より
  「教え 上手」 とは わかり やすく、 そして 教わる 人 に 学び たい と 思わ せる「 技術」 を 持ち、 かつ、 彼ら を 思いやる よう な 心 と ユーモア を 備え た「 人間性」 を 持つ 人 の こと を 指す の です。
 
 ●技術だけでも人間性だけでもダメ
 
医者と同じです。患者さんの診断→処方→処置といった技術だけではなく、子どもたちの心のケアが必要です。私がコンサルから転職して一番ここのチューニングが大変でした。子どもたちは傷つきやすく自己中心的で保護者も過敏になっています。だからこそ、愛されるキャラ(人間力)が必要なのです。
具体的には正論ばかり振りかざさないこと。時にはこちらが降りていくことも必要なのです。
 
答え を すぐ には 教え ず、 自分 の 頭 で 考え させる。   結論 を 急が ず、 即答 を 要求 せ ず、 ゆっくり 考え させる。   あえて 大事 な ポイント を 隠し て ヒント だけ 与える。   わざと あいまい な こと や 間違っ た こと を 提示 し て、 固定観念 や 既成 概念 に 揺さぶり を かける。

 

   ●未知→既知→未知の順番
 
授業はこの順番で進んでいきます。まずは、「?」これはなんだろう?から始まります。具体的なモノ・絵・動画から始まります。子どもたちの思考を揺さぶります。
 
そして、「わかった!」まで持っていく。最後にもう一度「?」を作ります。
 
 
  たとえば 教師 の 場合、 子ども たち の 注意 を 引く ため に 黒板 に わざと 日 づけ を 間違え て 書く。 こういう テクニック を 教師 は 使う もの です が、 そういう とき も すぐれ た 教師 は、「 つい 間違っ て しまっ た」 かの よう に、 つまり、 それ が あたかも 人間性 から 生じ た ほころび や うっかり ミス の よう に 見せ て、 技術 で やっ た とは 相手 に 感じ させ ない の です。   子ども を 笑わせ ても、 それ が 人間性 から にじみ出 た ユーモア の よう に 思わ せ て テクニック とは 悟ら せ ない。
 

 

  ●技術と人間性の融合
 
魅力的な人間はどこか欠落しているものです。物語の主人公はどこか不完全です。教師も同じであるべきです。どうしたら自然にそうなれるのでしょうか。
それは、自らが学び続けることです。読書でもセミナーでも、動画でも日々自分自身が学び続けていれば自分の無知さに気づけます。
 
 
  そういう 受動的 な 能力 には すぐれ て いる が、 自分 で 問題 を 見つけ出し、 仮説 を 立て て、 自分 で 答え を 探っ て いく“〝 能動 力”〟 には 欠け て いる という のが、 昨今 の 若者 に 多く 見 られる 特徴 の よう です。
 

 ● 若者の特徴なのか?むしろ教員に多い

 

教務主任として働いていると子どもたちよりも教員の方が受け身です。新しいことを始めようとしても抵抗があるのがベテラン。「先に生まれただけのぼく」でも、そこらへんは描かれていますね。

 

  したがって、 よく 教える ため には、 何 を 教え て、 何 を 教え ない か という「 省く」 技術 が 大切 に なっ て き ます。
 
 テーマ は 少なく 絞っ て、 ポイント だけを 教える
 

 ●    ダメな教師はよくしゃべる。優れた教師は、子どもにしゃべらせる

 

どうしたら授業中教師が一言も話さずに全員がきちんと学べるのか。

私の人生のテーマです。少なく喋って多くを学ばせる。この矛盾を解決できるからこそプロなのです。

 

  この 場合 は、「 バス の 運転手 さん は、 運転 し て いる とき、 どこ を 見 て い ます か?」 といった 問いかけ が 発問 に 相当 し ます。
 

 ●  具体的、深めがいがあるオープンエンド

 

一番有名な発問ですね。発問に命をかけるのが授業の達人です。どうしたら具体的な発問になるのか。小学生、特に低学年は抽象的なことを考えることが苦手です。だからこそ、具体的でなくてはならない。さらに、議論が活発になるためには、オープンエンドである必要も。

 

思考 を 一点 に 集める 発問
思考 を 広げる 発問
思考 を 深める 発問
 

 ●集中、拡散、深化

 

まず、焦点を合わせる。次にあれこれ考える。最後に、もっと深める。こんな授業をすれば、子どもたちは、こちらが教えたいこと以上のことを学びます。

「先生の授業は魔法みたいに早く終わった」と言われれば授業名人初段ですね。

 

 

いちばんやさしい教える技術より
 
  結果が思わしくないのは100%教える人の責任
 
学ぶ 人 に やる気 が ない なら、 やる気 を 起こさ せる ところ から 教える 人 の 責任 範囲 になり ます。 つまり、 結果 が 思わしくない のは、 教える 人 の 技術 不足 の せい。   教える 人 の 責任 は 重大 です!
 

子どもの不始末は教師の不始末である

 

大村はま先生もおっしゃるように私たちは子どもたちの学びに対して責任があります。当該学年の学びに不足があれば次の学年以降で大きなデメリットになります。一斉授業でわからなければ、補習をしたり、ご家庭と協力してサポートしなければなりません。分掌の仕事より上司のごますりより、職員室の雑談より一番大切なことを蔑ろにする教員はあとをたちません。

 

  コミュニケーション上手と教え方上手は共通点がいっぱい!
 
1   教える 相手 を よく 観察 し て 相手 の 状況 を つかむ
 

 ● 自分が望むことよりも子どもが望むこと

 

教えたいことを子どもたちの学びたいことに変換しましょう。学習内容は子どもたちの世界観にどうリンクしているのか話します。教科書の内容ではなく、どう使えるのか、何と関係があるのかを話しましょう。そして子どもたちの食いつきを観察しましょう。

 

 

  コミュニケーション上手と教え方上手は共通点がいっぱい!
 
2   相手 の 状況 に 沿っ て、 ちょうど 良い 知識 を 提供 できる
 

    

●食べやすい大きさに切る

    準備とは取捨選択・知識の体系化・構造化
 
いきなりステーキで肉の塊を無理やり口に詰め込むような授業をやっていませんか。知識を切り分けて、並べ替え、構造化する高度な思考力が探究時代の教師には求められています。
 
 
  コミュニケーション上手と教え方上手は共通点がいっぱい!
 
3   相手 に 実践 の 機会 を 与え て、 結果 を フィードバック する
 

  

●  子どもたちのKnowing-DoingGapを埋める時間

 

説明して考えさせてわかった!と子どもたちがなったら、練習時間が必要です。

習得のためには反復がかかせません。

やる気を持続させるための考え方
 
やる気 を 持続 さ せる ため の 考え方   運動 スキル を 教える ため には、 やさしい レベル から 始める「 スモール ステップ」 と、 行動 し た 直後 に 情報 を 伝える「 即時 フィードバック」 を 使え ば、 どんな こと でも 教える こと が でき ます。
 

 ●  スモールステップ、即時フィードバック

 

この2つを意識すれば、きっと子どもたちは「わかりやすく自信がつく」と実感するでしょう。