教務主任残酷物語〜生き延びるための100の技法

某私立小学校のセンセイ。コンサル会社→通信で教員免許→私学で教務主任。 説教おじさん。書評や授業論を日刊で配信中。

『授業の見方』は本質的な価値がある。澤井先生は教師の強い「味方」です。

こんにちは、桜井です。

 

 

授業の見方―「主体的・対話的で深い学び」の授業改善

授業の見方―「主体的・対話的で深い学び」の授業改善

 

 

この本を拝読しました。結論、素晴らしすぎる内容でした。

 

私たちは、日々の授業を行う上でいつもこう思っています。

「子どもたちのために良い授業をしたいな!」と。

 

でも、学年主任とベテラン教師は考え方が違うし、

現場出身ではない校長は、全く授業のことわかってないし、

菊池先生や沼っち先生のやり方を現場でマネしても毛嫌いされるし、

学芸大学付属や筑波大付属の授業は、目の前の子どもたちの実態に合わないし。

 

そんななか光を指してくださるのが澤井先生の本でした。

 

主体的な学び
    主体的の具体像
        ①興味や関心をもっていること
        ②見通しをもっていること
        ③粘り強く取り組んでいること
        ④自分の学びの振り返りができること
子どもたちが主体的な状態って何ですか?という問いに明確に答えてくださいます。
 
あなたの目の前の子どもたちは、興味関心を持っていますか。見通しを持っていますか。今日何の授業なのか、何を学べばいいのか、どういう手順で進めばいいのかわかっていますか。
 
◎学習課題を全員がピンときた状態にするには?
        子供たちの素朴な気付きや疑問から、学習問題を設定する方法
                写真→発見→疑問→問題
        学習問題のイメージをできる限り共有する方法
                みんながお客さんだったらどんな店に行きたい?
 
写真や動画、小道具を使ってまずは子どもたちの心のコップを上に向けることが大切です。そして、具体的なものから徐々に今日の課題(≒目標≒めあて)に迫っていくのです。素晴らしい授業は、小説のように謎解きで進んでいきます。
 
◎振り返り
        「なぜ~だろう」→「なぜなら~だからである」
        「どのように~しているのだろう」→「~のようにしている」
 
主体的な学びでは振り返りが必須です。
めあてで「なぜ~なのだろう」とノートの左上に書いたら
あなたの目の前の子どもたちのノートノ右下には、「なぜなら●●だからである」とちゃんとなっていますか。
 
対話的な学び
    活動
        事実や様子の把握
        予想の磨き合い
        見通しの共有
        協力した調査
        討論、話し合い
        共同作業、学習成果物の作成
続いて対話的な学びです。
 
対話するとは単なるおしゃべりではありません。何のための対話なのか。上記には明確化されています。
 
対話とは、一人で考える以上の価値がなくてはならないわけです。
無計画に無目的に子どもたちにおしゃべりさせていませんか。(自戒の念を込めて)
 
        子どものやり取りに教師が口出しして、子どもが考える余地がなくなる
        教師だけが理解している
        子ども同士の単語をつなげられない
        子どもの発言を求める意味がない
あるある、と心でつぶやいてしまいました。ディベートで討論で教員が黙ってられない。そんな状況を何度研究授業で見たことか。
 
子どもたちが授業の主役。そんな当たり前で忘れがちなことに気づかせてもらいました。
 
環境づくり
        1 問いの焦点化
        2 先行知識では立ち行かない場面を作る
        3 困る、迷う状況づくり
        4 力を合わせる気運を作る
どうすれば対話的になるのか。
まずは、問いの焦点化。子どもたち全員が何を話せばいいのかわかった上で、?を作り出し、みんなで解決していく。
 
深い学び
    大きな視野、大きな概念を形成する
    社会科の概念例
        販売の仕事は消費者ニーズを踏まえて、売上を高めるように様々な工夫をしている
    個別→普遍化→個別へ
    問いとしてのコンセプト
        時間、空間、相互関係
    ★もし問いがなかったら?
        好き勝手発言するだけ。自慢大会。
        →問いがあると着目し、多様な視点、発見、概念化
    ★★ただ考えなさい、じゃなくて見方を働かせて考えなさい
        見方を通して事象を発見する

 ここがこの本の最も価値ある部分でした。

何を持って「深い学び」とするのか。

なぜ「その定義されたことが深い学び」といえるのか。

 

私の問題意識は常にそこにあります。

私の理解では、

個別具体的な事象を分析・総合することで、抽象的な普遍的な概念を認識し、その物の見方時代を子どもたちの脳みそにインストールすることが

深い学びの定義です。

 

スーパーやコンビニという具体を分析し、

それをグループ化して抽象化すると、

「人を集めるための様々なしくみ・工夫がある」

という概念が獲得できます。

 

それをさらに個別であるネットショップなどに適応してみる。

ここまで個別→普遍→個別ができて初めて深い学びといえるのではないでしょうか。

 

2章 授業の見方を知る
  指導案
    1 目標
        ✕ 単なる活動
        ◎ ○○を通して□□する
    2 目標と問題
        設定された学習問題が、その目標を実現するための問いになっているか?
        設定された学習問題を追究することで、その目標を実現できるようになっているか?
    3 イメージ
        何を拠り所として、どこへ向かおうとしているのか、そのためにどのような手段を講じるのか?
    4 内容
        ★何を理解させる授業なのか?
        教材を通して内容を理解する
        自動車工場やスーパーを通して、地域の販売の仕事の特色や、販売方法の工夫を理解する
        ★子どもたちの反応例
    5 学習活動
        ◎学習活動には「調べる」「まとめる」「話し合う」という言葉を使う。「知る」「理解する」「考える」は頭の働きであって活動ではない!
    6 手立て、支援案
        複数の資料
        比較する資料
        助言
    7 学習評価
        どんな観点から、どんな規準で、どのような評価材料で評価するのか?
恥ずかしながら改めて指導案の構造がわかりました。
目標とは何か。活動とは何か。評価とは何か。
 
ここだけでも、この本を読む価値があります。研究授業の前にかならず見直しましょう。そしてこの理解があれば指導主事とも戦えますよ。
 
板書
    ア 学習課題の内容
    イ 提示する資料の内容や提示順
    ウ 中心となる思考場面の位置づけ方
    エ 子どもの意見や考えの整理の仕方
    オ 学習のまとめや方法
    ★意味付けや抽象化に導く
        大量、安定、安全、仕組み、工夫、努力、協力
 
何のために板書するのか。それも明確化が必要です。授業の本質は細部に表れますが、板書も良い例ですね。
 
学習展開
    1 時間配分
        説明<子どもの活動
        調べて事実をつかんでいる場面:意味を考えている場面
        気づいたこと、分かったこと、調べてきたことを発表するだけの授業は思考がない
    2 思考の転換ポイント
        ★★子どもたちは、教師の揺さぶりや深い問いを待っている
    3 学習形態の変化
  子どもの側から見る
    ★★★本当に子どもたちが参加できている授業は、いい発言ばかりではない。不揃い、不完全な話し合いが生まれるのがいい
    ★★★板書を写すのか写さないのか、何をどう写すのかきちんと伝える
    総合的な学習の時間のよい授業
        ア 問いのもたせ方
                必然性、適時性
        イ 学級づくり
                違いを認め合う
        ウ 学び方のトレーニング
        エ コーディネート
                子どもの活躍
    表情や目線
        絶えず微笑みが漂っている
    子どもの反応を受け止めながらすすめる
 

こちらも大変勉強になりました。

 

説明しすぎのあなた注意しましょう。子どもたちは活動し、話し合っていると自分たちがゴールに向かっているか不安になるんです。

 

そこで教員の出番です。

 

大学のゼミで大学生同士が話し合ってなんだかわからん、、、という状況で

教授が一言いえば「すっきり」そんな経験はありませんか。

 

そのためには徹底的な教材研究と日頃からの思考・体験の量です。

がんばりましょう。

 

3章 授業の見方が「生きる」
  まず子どもが授業を受け入れているか?
    むずかしすぎる?唐突すぎる?
  教育の成果を生むためには?
    1 反応する力を育てる
        明確に育てている
                話し合い
                書く力
    2 子どもの特性を生かし、居場所を作ること
        その子のとっておきの場面を考える
        全員参加の授業を作ろうとしている
                見ていてくれる
                肯定してくれる
                手を差し伸べてくれる
    3 学習状況を把握することの大切さに気づく
        理解してるかしてないか?
        何に興味を示し、どこに関心が向いているのか?
        そもそも学習に参加できたか?
  子どもの目線に立つ
    授業が難しくてわからないよ・・・
        ★ではどうしたらわかるようになるのか?
  子ども同士のつなぎ役になる
  事前準備の大切さを知る
 
ここはどちらかというとプロ意識の話しですね。
 
ツイッターを見ていると明日から3学期嫌だな、という先生たちの存在。
それで子どもたちの前に立ってイイんですか?
 
私たちはプロです。
失敗してはいけません。
 
ドクターXのように子どもたちの小学校生活は人生でたった一度なんですから。
 
4章 授業の見方を「生かす」
  子どもを大切にするとはどのようなことか?
  30分の計画を作る
 
最後に澤井先生から宿題をもらいました。
「子どもを大切にするとはどのようなことか?」
 
私なりの定義は、
●子どもを一人の人間として尊敬して接する
●子どもの変化に気付き、よい変化なら認め、ちょっと危ないなという変化なら話をする
●子どもが大切にしているものを大切にする
●子どもの思い、感情、悩み、願いを読み取ろうとする
●大人って楽しいよ、という姿を子どもの目に見せ続ける
 
以上です。
 
明日から一緒にがんばろう!仲間たち。

 

 

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